《現在のお仕事について》
かものはしの活動について
Q、 「設立はいつですか?」
「2002年の7月かな。」
Q、「かものはしの事業は今現在誰のために行っているんですか?」
「私達のミッションが
『世界から若者の人身売買を無くしたい』
という想いでやっているんですね。
それも、できれば未然に防ぎたい、という想いがあるので、
事業としてはそういった状態に陥りやすい人達を手助けしたり、
すでに被害にあった人達の社会復帰を手助けすることもあるし、
法執行の強化といった部分も手がけていますね。」
K 「女性が主な対象になるんですかね?」
「女性が多いですよね。
カンボジアの人身売買の被害にあうのは、女性が八割くらいになるんですが、
例えば農村部などの貧困家庭から出稼ぎに出る過程で
騙されてそういう被害にあったりする人が多いんですね。
そのあたりの女性達がいかに減るか、
いかに安全な仕事をえられるか、という所ですね。」
K 「かものはしの事業はシェムリアップ中心なんですか?」
「そうですね。以前はプノンペンでしたが。
今後は違う国への展開も考えています。」
K 「スタッフって何人ぐらいいるんですか?」
「カンボジア側の運営スタッフが14、5人と、
(かものはしの事業の)受益者でもあるんですが、
工房で働いている女性たちが94人います。」
K 「え!そんなにいるんですか?」
「ちょっと増えたんですよ。
2008年は15人だったんですけどね。
あとは日本に10人くらいですね。」
K 「なるほど、日本側のスタッフは主に何を行うんですか?」
「主に資金調達ですね。
二つあって、企業協賛や個人会員の獲得が一つ、
あとはIT事業での資金調達ですね。
ちなみにIT事業は今年度で終えると思います。」
K 「かものはしのパンフレットには、財務の中身が
細かい所まではっきりと表示されていますね。」
「やはり個人会員の皆さんからのお金をお預かりしているので、
その辺は気をつけていますね。」
Q「いまの活動のポイントは?」
「まず、児童買春に関しては二つの観点があるんですね。
いかに売らせないか。いかに買わせないか。という二点です。
その上で、行っている事業は3つあるんです。
まず売らせないためにコミュニティファクトリー事業という、
自立支援の仕組みですね。
もう一つの売らせない仕組みが、ポイペトにある孤児院への協力ですね。
ポイペトには幼い子が無茶に出稼ぎにいって
ポイペトでストリートチルドレンしたりとか。
そういう子がそこに集まっているんですよ。
そういう子たちに、まずは教育をきちんと受けてほしいと考え、
支援をしているんです。」
K 「なるほど」
「もう一つは少し特殊なんですが、買わせないために出来る事として、
カンボジアでの法執行の強化なんです。
カンボジアには法律はあるんですよ。人身売買を禁止する法律とかね。
けれど、国としてもようやく法律ができたような状態だから、
それを執行する警察にキャパがないんですよ。
証拠を集めて、起訴までもっていく、といった事が出来ないんです。
それに買春に関しては、売ってる方が悪い、
といった男尊女卑的な感覚もまだまだある。」
K 「なるほど」
「そこで、彼ら警察にキャパシティが生まれれば、
法執行も強化されて、
『カンボジア買いづらいじゃん』
といった状態がつくれるかな、と考えているんです。
まぁ、実際は買い手の7割ぐらいは
カンボジア人によるものなんですけどね。」
K 「へぇ!そうなんですね。」
「法執行に関しては、うちが独自でやっているわけじゃなくて、
ユニセフさんや、ワールドビジョンさんなどと一緒に、
内務省がやっている警察への訓練プロジェクトに参加しています。
結論からいうと、そういった取組の効果はかなり出てきていて、
売春宿のオーナーが捕まったりもしてきているんですよ。
なので、いわゆる『堂々と子どもが売られる』、
といったようなことはほとんど無くなってきていると考えています。
まぁ、アングラなので正確な把握は難しいんですけどね」
K 「そうでしょうね。
そこから先は残念だけど表には出てきづらいでしょね。」
「けれど、そうだからといって
『数字が解らないので、ずっとカンボジアでやります』
というのも変な話なんですね。
私達のもっているリソースやノウハウを使って
他の国で事業を展開した方が
より効果は大きいかも知れないじゃないですか?」
K 「それはありますね。」
「私達のミッションは
『世界からそういった状況を無くしたい』
ですからね。」
K 「そうですね。」
「なので、徐々にカンボジア以外の国にシフトしようとしています。
それで、以上の三つの柱の中でも、一番自分達が資源を投資してるのが
コミュニティファクトリー事業なんです。」
K 「なるほど」
「そして僕が今それを担当しています。」
K 「具体的にはこちらで何をしているんですか?」
「オフィスはシェムリアップの街の中にあって、
工場は25キロくらい離れたところにあります。
実は最近やっと(僕自身が)具体的な仕事から
はずれる事ができるようになったんです。
つまり、生産や商品開発や営業などといったそれぞれの分野を
カンボジア人のマネージャーに任せてやってるんです。
僕はそのマネージャー陣が気持ち良く仕事ができるように
環境を整えたり、指導をしたりするようにしています。」
K 「青木さんの他にこちらに日本人スタッフはいらっしゃるんですか?」
「現在インターン生が一人いますね。
あとは共同代表の本木がいったり来たりして
この事業もみてくれています。」
K 「じゃ、段々とマネジメント全体を任せていってるんですね。」
「そうなんです。
じつはこれに関しては一年半後に黒字化し、現地化する、
つまりカンボジア人だけで経営できるようにする、
という目標があるんです。」
K 「それは大変そうですね(笑)」
「めっちゃ大変ですよ(笑)
自分が現地人になった方がよっぽど楽(笑)」
K 「そういった、かものはし全体の方向性は
どうやって決めているんですか?」
「戦略の骨子に関しては、
本木と僕で決めているところが大きい。特に本木かな。
もちろん総会も行うんですけど、
実質的には総会は会員さんへの説明のプロセスといった感じで、
反対票が出たことがないんですよ。」
K 「なるほど。」
「むしろ評議委員会、3ヶ月に一回行っている、
まぁ取締役会みたいなもんですね。
昔から応援してくれてる経営者の方とかをお呼びして、
3ヶ月に一回経営方針について話し合う、そういう会を行なっているので、
ま、そこでは議論になりますね。
ちょうど三日前にも開かれてまして、
そのときに中期経営計画に対する進捗具合であるとか、
ガバナンスをどうやって強めていくのか?
かものはしのポジショニングについてなどの話も出るんです。
そんなことを評議委員会の方々に頼りながらやっています。」
K 「思い出した。
そういえば一番最初にかものはしのことを知ったのは、
STYLEファイナルのプレゼン時ですよ。」
「STYLE2003かな?」
K 「そうですね。その時かものはしのプレゼンを
僕はタイムキーパーとして見てたんですよ。
チーンってカネを鳴らしながらね(笑)」
「あ、そうなんですか?懐かしいな。
あれは感動的な会でしたよね。みんなポロポロ泣いちゃったりして(笑)」
K 「その時にプレゼンの内容は今もはっきり覚えていますよ。
当時はIT事業を軸に、カンボジアでIT技術者も育てるといったお話でしたね。」
「まぁ、うちはよく事業が変わるんですよ(笑)
あきらめが悪いってよく言われますよ。」
K 「うん。でもそれがスゴイと想うんです。
なんていうか、皆さんと同世代で同じタイミングで
何かを始めたけど、途中で続けられなくなってやめた人も
たくさんいるじゃないですか。
そこで次に伺いたいのは、なんでここまで続けたのか?って事です。」
「なるほど、なんだろうな~。
続けてるといっても自分の中ではフェーズが時期によって違うんですよ。
僕自身が三年一区切りぐらいで変わってきてますね。
興味であるとか、かものはしとの付き合い方自体も変わってると思います。
本当に個人的なことを言えば、
やっぱり自分が信じられるミッションがあって、
いっしょにやりたいと思う仲間がいて、
それに、一応食っていけてね。
それで面白いことやってるな~と自分が思えるかどうかじゃないですかね?
後から考えてみれば、
ワクワクするなって思える事業をやっていることって
幸せな事だなと思いますね。」
K 「勿論そうですよ。」
「結構、仕事やっていてもそう思えない人も多いですよね。
あと、結構僕ね、バカなんですよ(笑)」
K 「なるほど」
奥様「その台詞がちゃんと出てきた(笑)」
「頭が悪いというか、一つは先の事考えないんです。」
奥様「それが言いたかった私も(笑)」
「二年後三年後の事とかあんまり考えないんです、普段。
僕の視点はいつも一週間後とかに固定されているんです。」
K 「なるほどそれは学生時代とかからですか?」
「もう、キャラですね。より最近確信しています。
現在を生きてる。
いま、来週に夢中になっていることであれば、迷いなく続けられるんです。
だから、三年後とかは考えない。
あと、もう一つは楽観的なんですよね。
根拠は無いけど自信があったりとか。
本気で取り組んで、結果はどうあれ自分自身が成長さえすれば
仕事はどうにかなる、と思っているんです。
今かものはしをクビになってもどうにか就職できるというか、
きちんと仕事につけると。それも妥協するんじゃない形で。
そういう自信もあるし、同時に緊張感もあります。」
K 「なるほど」
「創業者だから、かものはしに居座るっておかしなはなしで、
フェーズによって不要になってくる人もいるじゃないですか。」
K 「そうだと思います。
ということは、かものはしはこの十年間
青木さんにとって成長できる場で在り続けたってことですね。」
「そうですね。かつ多少なりとも貢献してこれたってことだと思いますよ。
そのバランスが重要だと思いますよ。
そう言う意味でお互いに良い緊張感をもって
かものはしとも付き合っていこうと思います。」
K 「なるほど。」
「烈さんって知ってます?」
K 「もちろん。藤沢烈さんですよね。」
「そう、烈さんに影響された部分がものすごく多い気がするんですよ(笑)
そもそもかものはしを起業したのは烈さんにそそのかされたからだし(笑)
『君たちなら出来るよ』ってね。」
K 「なるほど。」
「烈さんには『かものはしの人になるな』って言われたことがあって、
一人の人としてかものはしっていう場を利用したり、
貢献したりする意識が必要だってことを教えられました。」
K 「それは『プロとしての意識を持て』ってことですよね。」
「一つはそうですよね。
まぁ『バリュー出してるか?』ってことじゃないですか、
マッキンゼー流にいうと。」
K 「なるほど」
「ま、そういったことから
僕自身は成長していれば大丈夫だっていう自信があるので、
諦めようということを考えたことはあまりなかったです。
ただ、今後かものはし以外でも仕事をしていく可能性は
あり得るなと思っています。」
K 「もちろんそうでしょうね。」
「かものはしとしては、徐々にカンボジアから
経営資源を他に移す方向で動いているんですけど、
僕個人としてはもう少しカンボジアに残ろうかなと思ってるんです。」
K 「なるほど。」
③に続く
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