「30年後の日本が世界中から憧れられる国になるためには何が必要か?」
という、ずいぶん真面目ぶった問いを持って、
私はこの二年間世界各地を旅させていただきました。
今回はその問に対し、
私が見つけた答えを紹介します。
その前に、そもそも、
この問いを立てるに至った背景を簡単にお伝えしておきます。
私は中学生の時に、
アフリカや途上国の飢餓で死んでしまう子供たちのことに心を痛めていました。
ご飯を食べずに寝ることすら苦痛だろうに、それが原因で5歳まで生きられない。
そんな現状が、同じ世界の上で起こっていることを真剣に悲しんでいました。
また、一方で、モノにあふれ、相当な自由を与えられながら、
なお有り余る食を残飯として平気で捨てられるような日本社会に怒りを感じるとともに、
にも関わらず、同世代の少年が殺人を犯したり、
自分の父親と変わらない大人たちが自殺したりしていることに、
妙な違和感を感じておりました。
(そんな多感な時期に「人間失格」を読んだりしていたのも良くなかったか?)
そして当時、子供ながらにそんな社会観と戦ってみました。
結果、あっけなく挫折。
「人は変わらない」という絶望感だけを抱え、
以後5年くらい、社会を受け入れず、静かに反抗しつつ、心を閉ざすに至りました。
転機は大学入学初日でした。
入学前は、国際ジャーナリストを目指そうなどと考えていたのですが、
入学その日に参加することになった勉強会で学友から問われた
「ところで、オマエの地元別府の良いところはどこなんだ?」
という問いに私自身が何も答えられなかったことが、ショックでした。
この時、自分は自分の足元のことを何も知らない!
ということに初めて気づいたのです。
それから、私の視点は
ふるさと別府へと移っていきました。
そこで、温泉めぐりなどを通じて、地域の人や歴史、文化と出逢う中で、
その魅力を知るとともに、同時に、地域が抱えている問題も見えてくるようになりました。
「世界がどうこう言う前に、自分のマチすらこんなに不安定じゃないか!」
という気づき。
それが「まず足元から始める」という
私の信条になり替わっていったのだと思います。
それから、いわゆるまちづくり活動というものに、参加していくなかで
私自身の経験から、
「知る」⇒「楽しむ」⇒「協働する」⇒
「愛する」⇒「誇る」⇒プレイヤーの誕生
というサイクルが存在することを発見し、
そのサイクルを周囲に提供していくことで、確実に何かを変えていけることを実感しました。
また、同時に人を動かすためにもっとも強烈な方法は「教える」でも「命令する」でもなく「憧れさせる」
だということも、多くのリーダーや起業家を見てきたことで気づきました。
また、「憧れられる」人物というのは、
すべからく「愛する」ものを持ち
「誇る」べき何かを持っている方なのです。
これらの気づきから、
もし私たちが「アフリカの飢餓で苦しんでいる子供たちの状況を変える」なんてことを
人生の目的に置くのであれば、
ひとまず
「自分自身とその周囲が
とことん幸せになる必要があるなぁ」
と考えるようになりました。
そのうえで、それに憧れた人々が、
「私たちもあんな風になりたい!」
なんて思ってくれたら、もうこっちのもんです!
あとは、
それが町中に、日本中に、そして世界中に広がっていくはずですから。
それがなんていうか素直な形だなぁと感じていました。
それが旅に出る直前、
伊那食品工業の塚越会長とお会いして学んだ「年輪経営」の思想や、
致知出版「若獅子の会」で学んだ安岡正篤師の「万燈行」の思想
などとの出逢いによって、腑に落ちたのでした。
そこで、問い
「30年後の日本が世界中から憧れられる国になるためには何が必要か?」
を立てるに至ったのです。
そして、
日本が世界から憧れられるような国であるには、一人一人が「日本」のことを「愛し」、「誇り」にできるような状態であれば良いと思うし、そのためには一人一人が、それぞれの属する「故郷」や「家族」や「コミュニティ」を「愛し」「誇れる」ような状態になる必要があると感じています。
ちなみに、私の中で、
真に自らを「愛し」「誇れる」人というのは、
他者のもつ「愛し」「誇る」対象を貶したりしないものです。
自分の足元にあるものを真に愛し、誇れるという状態は、
「自分を信じる」ということに直結していると思います。
つまり、「自信」があるってことです。
「自信」がある人は、他人を恐れる必要がありません。
それに「自信」があるから「憧れられる」わけです。
その意味で、
真に自らを「愛し、誇れる」人は、他者を攻撃したり、貶したりしないものです。
ココんとこ、重要だと思います。
というわけで私は
「30年後の日本が世界中から憧れられる国になるためには何が必要か?」
という問いを持って、旅をはじめたのでした。
あまりに長くなったので、
旅で得てきた、その答えについてはいよいよ次回!
以上