2011-05-17

「枠に捉われずに」 APU卒業生インタビュー第三弾 韓国 藤本匠さん

APU卒業生インタビュー第三弾は韓国からお送りします。
場所はソウル市内の漢河沿いのカフェBlueNile

読んだ後に「道は一つじゃないんだな」って思っていただける
そんなお話になっております。

是非楽しんでください☆


氏名    藤本匠さん
卒業年度 2004年 
学部    APS
出身地  日本、東京
職業    日韓国際会議通訳、翻訳家

(Facebook プロフィールより) 


①卒業から現在まで
Kentaro(以下K)「いまの仕事につくまでの経緯を知りたいんですけど?」
「長いけどいいの?」
K「大丈夫です」
「ほんとに長いよ」
K「大丈夫です」
「卒業して最初は・・・(以下本当に長いので、物語風にまとめてみました。)

匠さんは現在日本語と韓国語の通訳翻訳のプロとして独立している。
カッコいい職業だなと思う人も多いだろうが、その道のりは決して平坦ではなかった。

大学卒業後、某大手韓国企業の商社部門へ就職するが体調不良に悩まされ3カ月で退職。
その後韓国で、クリスチャンである匠さんは教会関係のボランティアで通訳をする。
その中で、通訳士として活躍する先輩達から通訳翻訳の道を勧められ、本格的に勉強するために、その秋に通訳大学院を受験したが、結果は辛くも不合格。再び東京へ戻りバイトをしながら生活する日々が続いた。
しかし改めて意を決し、翌春再び韓国へ。ワーホリVISAをとり、現金五万円をもっての出国だった。そして日韓合弁企業の韓国地方工場立ち上げでの通訳としての職を見つける。

仕事への不満もなく、会社側からも正社員として採用したいとの声がかかったころだった。
ある日、1年ぶりに再会した先輩に「何をやってんだ!」と一喝されたのである。
「おまえは通訳になりたくて韓国に来たんだろう。だったらきちんとその道を目指せ!」
その言葉にハッとし、その職場を3カ月で退職、再びソウルに戻ったのだ。
「もう一度大学院を受験しよう。」そのためにバイトをしながら、予備校に通うようになった。
そして卒業から2年目の春、通訳大学院に入学することとなった。

通訳大学院での二年間は「とにかく勉強した、大学の時にこれだけやっておけばよかった」というほどの猛勉強。
その間、通訳翻訳家としての経験を兼ねたバイトも数多くこなした。
それは韓国企業のオンラインゲームの翻訳から某財閥企業副社長の個人レッスンまで多岐にわたる。
そしてAPU卒業後から4年目の春、大学院を卒業する。

しかし、試練は続く。
改めて就職活動を行うものの、VISAの問題で思うようにいかない。
当時日本と同じく就職難の韓国では、韓国人でも就職しづらい。そんな中で外国人に仕事を与えるには相当の理由が要求されたのだ。
自分の努力ではどうしようもない壁にぶつかり悩む日々。

しかし道は思わぬ形で現れた。立命館出身の韓国人のおっちゃん。
この人から「大学などで教える講師としてならVISAはゆるい」とのアドバイスを受ける。
そのアドバイスをもとに大学専任講師としての職を得たのである。

ところが大学講師のVISAでは通訳・翻訳の仕事ができない。自分のやりたい仕事ができず、またまた悩む日々。
しかし、2010年法改正により、VISA発給基準が緩和され、自由に仕事ができるVISAをゲットする。
そして、この2011年の春、大学講師を辞めプロの通訳翻訳家として、ついに独立したのだ・・・。

K「かなりの試練の連続ですが、へこたれなかった理由はなんでしょうかね?」
「う~ん、いつも大きなことはそんなに心配してないんだよ。」
K「『なんとかなる』ですね?」
「そう。細かいことには心配性なんだけどね(笑)」
「あとは、教会は大きいかな。色々な人に支えられてここまで来た感じ。」
K「なるほど」

②学生生活を振り返って
Q、別府ではどこに住んでいたのですか?

「別府公園のしたのところ、西野口ってしってる?あのへんだよ」
賢「あの辺に学生マンションなんてありましたっけ?」
「いや、初めての学生でしょ。だから何にもなくて自分で普通のアパートを探して見つけたんだよ」

Q、サークルやゼミは?
「サークルは『ココこりあ』でしょ、あとフナキとかとJazzバンドのサークルを最初ちょこっとやってたね」
賢「何か楽器ができるんですか?」
「ピアノが少し」「なるほど」。    
賢「ゼミはとってたんですか?」
「いや、それがね二年の秋に韓国のキョンヒ大学に交換留学したんだよ、一年間。それで戻ってきたら3年の秋でしょ。そしたらあの時はゼミとれなかったんだよ。それで、ゼミには入れなかっただよね。」「そんなことがあったんですね~。」

Q、別府でバイトはしてましたか?
「うん、餅ヶ浜のマックでやってたよ。高卒からやってたから。けど、開学して最初の学生でしょ。だから結構大変だったんだよ。職場の人みんな方言で、何言ってるか聞き取れないことも(笑)。けど、すぐになれて良く遊んでたよ。」

Q、APUに入学したきっかけは?
「高校の時から、韓国、アジア、英語に興味があって、そんな時に朝日新聞の一面広告を見てそれがきっかけかな。あと、高校も一期生なんだよね。だからそういう自分達で創っていくっていう一期生とかの雰囲気が好きなのもあったんだよね。それにそろそろ家(東京)の外にも出たかったし。」

Q、別府の第一印象は?
「なにもないな~(笑)って感じ。別府に来て二回目で家を決めたんだけど、その時に不動産屋の女の社員さんが「せっかくだからAPUまで行ってみますか?」って言ってくれたんだよね。まだ学校まで行ったこと無かったし、ならお願いしますって車に乗ったわけ。でも、どんどん山の方に行っちゃうから、変なことされるんじゃないかな(笑)って本気で思ったよ。」

Q、別府で好きな場所はありますか?
「上人の方の海とか好きだったな。みんなで遊んだり、焼き肉をしたり。あと扇山。教会で仲良かったおばあちゃんの家があってね。」

Q、地元の人で親しくなった人はいますか?
「結構いっぱいいるよ。別府の駅近くの教会で知り合った元小学校の校長先生とかに車をもらったりしたしね。」
賢「別府で教会にも通ってたんですか?」
「そう、留学から帰ったあとは韓国からの国際学生を教会まで送り迎えしたりね。自分が韓国に居た時にかなりお世話になったからその恩返しがしたかったんだよね」「なるほど」
「あと太陽の家にも良く行ってたね。いまでも別府に帰った時は教会やリハビリテーションセンターには顔を出すよ」

Q、学生時代の一番の思い出は?
「やっぱりココこりあかな。これっていう事では無いんだけど、よくアイデンティティについての議論なんかを、お酒も飲まずにAPハウスで泊まりこみでやるわけよ」
賢「アンさんとかと?」
「そう。そういう時間がすごく印象に残ってるかな~」

Q、APUがもっと良くなるためには何が必要ですかね?
「今はどうかわからないけど、国際大学としては遅れている部分たくさんあったと思うよ。証明書の発行なんかもそうだし、カリキュラムも少なかったよね。」
「あと、日本人学生はもっと積極的になった方がいいと思う。アクションを起こさなかったら、『普通の』大学と一緒だからね」
賢「ですね、もっといっぱい出来ることありますよね。日中韓で歴史認識の話とかガンガンしたかったな~」

Q、別府がもっと良くなるためには?
「別府は今のままでいいと思うよ。ただ、車で学校に行けるようにしてほしかったな。バス高いでしょ。結局原付で通ってたけどね」

③未来に向けて

Q、これからの夢、目標は何ですか?
「韓国語を教える資格をとる予定。あと、機会があればAPUで教えたりできるといいんだけど。」
賢「それは面白いですね、講義だけでなくて、いろんなことを学生に伝えられるじゃないですか」
「そう。あと教授との交流も学生時代にしておくべきだなって。教える立場になってわかったけど、やっぱり学生が質問とかに来てくれると嬉しいんだよね。」
賢「なるほど」
「あとはやっぱり通訳翻訳のプロとして頑張って行きたいし、興味がある人に教えるのも楽しいから、その方面もいいかなと思っている。あとAPU生が韓国にワークショップとかで来るならどんどん協力したいんだよね。」

Q、同じAPU卒業生へのメッセージをお願いします。
「みんなそれぞれ自分の場所で頑張って下さい。韓国系で何かあれば、なんでもいいから連絡下さい。っていうか仕事を下さい(笑)」

Q、APUの現役学生、未来のAPU生にメッセージをお願いします。
「やりたいことにどんどんチャレンジして欲しい。そして就活などで日本のシステムに捉われないで欲しい。卒業してからでも道はいくらでもある。」
賢「その通りですね」
「広い目で見て、周りに流されないで。いくらでも自分の能力を生かす道はある。自分の枠に捉われずにチャレンジしていけば、APUという環境はありがたいはずだよ。」

④最後にインタビューを終えて。
印象に残っているのは「自分の枠に捉われない」という言葉です。
ただ言葉を耳にすると「常識外れの行動」を単に進めている様にも思えるかもしれません。
けれど直にお話をした私たちには違います。
「自分の枠に捉われない」ためには、常にいまの自分を超えようとする気持ちと、
そのために行う日々の努力が必要なのです。
そして、それを実践してきた匠さんの言葉だからこそ
強く私たちの心を動かすものだったのです。

匠さん、貴重なお話ありがとうございました☆


(ソウル市内のカフェ、Blue Nile にて)

皆さんも韓国に関連する仕事や、研究、プライベート旅まで。
困った時は匠さんに連絡してみると良いと思います。Welcomeだそうですよ。
きっと素敵な御縁になりますよ~☆

以上

追伸、みなさまからの気づきや、各国APU生情報をいただけると嬉しいです☆
よろしくお願いします。

(インタビュー実施日:2011/5/17)

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