2011-07-02

闇タクの旅 成都―四姑娘山 

成都ですっかり重くなった腰を上げ、
ようやく次の目的地へ向かいます。

行先は5000m級の山が連なる四姑娘山。

天気さえ良ければ最高のトレッキングができるでしょうが、
あいにく向こう一週間雨。

とはいえ、いつまでも Sim's でぐずぐずしているわけにはいかないので
思いきって出発です。

四川大地震以降、四姑娘山へ直接行ける道路が
使えなくなってしまったため、現在の正規ルートは、
茶店子バスターミナルからバスに乗って
南から遠回りして『小金』へ行き、
『小金』で四姑娘山行きに乗り換える、というものです。

所要時間10時間以上。下手したら『小金』で一泊コース。

一方、地震以降、遅々として進まなかった道路工事が
最近なんとか終りに近づき、
四姑娘山まで最短ルートで行ってくれる闇タクシーが登場。

こちらは所要約5時間。宿までお迎え付。素晴らしい!
しかも値段が1人150元と、正規のバスとあんまり変わりません。

Sim's の旅人もこの短いルートを使用している人が結構いるので、
私たちも闇タクにお世話になることにしました。

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7月2日、朝8:30。
闇タクは時間通りSim'sを出発。

車は7人乗りのパジェロ。

この時点での同乗者は、ドライバー、中国人の青年1人、
日本人のオジサマ、そして私たちです。

「この人数だったら結構快適だね」

なんて喜んでたら、道中、次々と人を乗せ、
7人乗りのはずの車はいつの間にか8人乗りとなってしまいました。

つまり、前2人、後ろ2人、そして、
私たちが乗る真中の座席に、まさかの4人。

もちろんぎゅうぎゅう。

文句をいう間もなく、闇タクはどんどん進みます。

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さて、闇タクというとなんだか響きが悪いですが、
地方によっては一般のタクシーやバスよりも信頼できて評判が高いそう。

なぜなら、昔は一般のバスだと山奥で山賊にあったり、
バスの運転手自体が悪さをして、乗客からお金を巻き上げたり、
ということがあったそうです。

それに比べると、闇タクは少々高いながらも、
ドライバーは知り合いの紹介になるため、悪さをしないとか。

そして、今回の移動では、まさにこの闇タクのドライバーのおかげで
四姑娘山に着けたといっても過言ではありません。

というのも、前夜の雨のせいか、途中川沿いの道が崩れており、
悪路でトラックが1台立ち往生。



通りは車がギリギリ2台通れるような細い道。
道といっても未舗装の砂利道です。


渋滞がいつ動き出すかもわからず、仕方ないので岩の上で休む2人。
後ろは土砂崩れあと。

道自体はなんとか砂利を敷き詰め、先ほど通行可能にはなった様子。

しかし、道路は登りと下りの車が互いに譲らず
どうしようもない状況に発展。

日本なら警察が交通整備をするところですが、
こちらの警察は何もしないで見てるだけ。
しまいには帰ってしまいました。

結局、3時間ほど立ち往生した後、
我らがパジェロは他の車の間をすり抜け追い越し、
強引に突っ切って行きました。


川を走るパジェロに歩く我々。

このとき千明は初めて4駆のたくましさを体感。


渋滞中の我らがパジェロ。

また、何もしないでただ状況を観察する他の中国人ドライバーと違い、
自ら状況を切り開いていく闇タクのおっちゃんを見直し、
「この人なら絶対、四姑娘山に連れてってくれる!」
と確信したのでした。

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しかし、ほっとしたのもつかの間。

渋滞を脱した闇タクは、遅れを取り戻すべく山道を時速80km強でガンガン飛ばし
千明はあっという間に車酔い。

午後5時ごろに遅い昼食休憩でなんとか元気を取り戻しましたが、
四姑娘山の近くまで来ると、今度は標高4500mの山越え。


女子全員グロッキー。
ごはんはびっくりするくらい美味しかったです。

山道をぐんぐん進む中、
もう、高山病なのか車酔いなのか訳がわからない気持ちの悪さ。

定員オーバーの4人席の端っこでは、チベット系らしきおばあちゃんが
3回も4回も袋に嘔吐しては、袋ごと窓から捨てています。

そんなおばあさんにもらいゲロしないよう、必死の千明と賢。

とはいえ、こんな苦しい状況でも窓の外の景色はとてもビューティフル。

白や黄色、ブルーなど、色とりどりの小花が山道を覆っています。

これから滞在する四姑娘山は初夏の花が美しいことでも有名なので、
期待に胸が膨らみます。

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そんなこんなで、ようやく四姑娘山に無事到着。

宿の目の前まで送ってもらってラッキー。

ここで降りたのは私たち含む日本人3人のみ。

闇タクのドライバーに感謝を告げ、
グロッキーなおばあちゃんを日本語で励まし、
皆さんとお別れしました。

宿があるふもとの標高は3160m。
体調は今のところまずまず。

ここで少しは高度順応できるかな。

天気は曇りですが、明日からのまだ見ぬ美しい景色に期待を寄せ、
今日は早めに休みます。

―つづく―

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