私たちは妻の体調不良もあり、
成都のSim'sになんだかんだでトータル三週間近く滞在してしまった。
いいかげん飽きてきたので
少し無理して列車硬座(ハードシート)での移動を決意し
その日、19時20分成都発昆明行の発車を控えて、慌ただしく準備をしていた。
成都駅に向かうおよそ二時間半前、
私は一人でお金を引き出しに銀行に向かった。
財布に多少の余裕はあったが、
「どうせ昆明について引き出すことになるから、慣れている成都で今のうちに、、、」
という軽い気持ちだった。
(この時はまだ、これから起こる惨事など想像もしていなかった。)
宿から五分ほど歩いたところにある中国建設銀行に到着。
店舗に隣接するATMにカードを挿入し、暗証番号を入れる。
すると画面に「カードが読み取れませんでした」と表示が、
「あれ、おかしいな?」と思いながらも
とりあえず、カードの返却ボタンを押した。
するといきなりATMがダウン!
(しまった、これが噂に聞いてた、カードが吸い込まれたまま戻ってこないってヤツか!)
と後悔しながらも、店舗内に居た警備員に冷静にカードが出てこない旨を伝える。
良くあることなのかすぐに理解して、奥に居る行員に伝えてくれた後、
「そこで待ってて」とジェスチャーで伝えてきた。
「なんとかなりそうやな」とホッと一息をついたのが間違いだった。
10分ほど待っていても何の変化もない。
その直後、いきなり店舗とATMコーナーの間のシャッターが閉まり始めた!!
(5時だから?)
(これはやばい!)
嫌な予感を遮って、慌てて店内へ駆け込み、
「ちょい、ちょい俺のカードどうなってんの?」
と警備員に詰め寄る。
警備員のおっちゃんは慌てて行員の女の子を連れてくる。
その子は英語が話せるらしく
「どうしました?」と聞いてくる。
「(どうしました?って)いや、カード出てこないんですけど?」
「あぁ、カードですね。すぐ出ますから。ちょっと待っててください」
(忘れとったんかい!けど、これでなんとかなりそうや)
「分かりました。ATM前で待ってればいいですね。」
「はい、そうです(笑顔)。」
さらに10分待つ。一向に動きが無い。
徐々に、列車の発車時刻も気になり始めたので、再度店舗へ。
さっきのお姉さん(何故かお茶を飲んで休憩している)に
「あの、カードまだですか?時間が無いんですけど?」
と聞いた。
すると、お姉さんがいきなり
「ごめんなさい。実はATMの鍵が壊れてしまってて
明日にならないと開かないんです。」
「は?(なんでそれを先に言わんのや!とのイラダチを抑えつつ)
そんなわけにはいかんのです。今夜昆明に行って、そのまま
ベトナムに向かうんやから。必ず今日中にもらわな!」
「そうなの。(奥の別の行員のおばちゃんと相談して)
う~ん、わかりました。なら20分だけ待ってください。
これから、ATMを開けられる人が鍵を持ってここに来ます。」
「ホントに?ホントやね?OK分かった、なら20分だけ待つわ。5時20分までやで」
と、中国人と言い争う時は、何故か関西弁っぽくなる自分を客観視しつつ、
店舗内のイスに座って、さらに、じっと待つこと20分。
ふと、開いた奥の扉から
さっきまで話してたお姉さんと、その相談にのっていたベテラン女性行員が
普段着に着替えて、化粧もばっちりきめて、電動バイクを押しながら出てきた。
(まさか!)
そのまさかである。
次の瞬間、お姉ちゃんは「お疲れ様でした~」的なことを行員仲間に告げ、
帰ろうとしたのである。
「(慌てて)ちょっと!待って!待って!
いやいや、帰っちゃだめでしょ(笑)。こういうときは帰っちゃだめなの!(日本語)」
「つ~か、帰るにしても、誰かに俺のカードのこと言ってるの?」
(奥でお茶飲んでるお姉さんを(適当に!)指しながら)
「え~~っと、あの人が知ってます」
「で、あの人英語喋れるの?(イラッとしながら)」
「いいえ。喋れません。」
「じゃ、ダメやん!」
「でも、あと20分で鍵を開けられる人が来ますから大丈夫ですよ(笑み)」
「いや、さっきお姉さんそう言ってたけど、もう20分たったやん!もう5時20分なの!」
「・・・(困った顔しながら)」
「とにかく、開けられる人が来るまででいいから居てよ。もうすぐ来るんでしょ?」
「けど、私このあとミーティングがあるので、、、」
!!!!!
(何がミーティングじゃ!どう見ても合コンやんけ!
化粧ばっちり、おしゃれして、外で手招きしとるオバはんも
ばっちりキメとるやんけ!ミーティング言うたら諦める思ったんか~!!)
と心の中で絶叫しつつ、
「それでも、俺にはあなたが必要なんだよ」と
(実際には英語でI need youと妻にも使ったことのない言葉を使いながら)
訴えた。
すると再度、奥に下がり誰かに電話をして戻ってきた、
「5時40分までに必ず来るって言ってるから安心して」
と言ってきた。
「申し訳ないけど、もう、信じるわけにはいかんわ。
もし、40分までにカードが取り出せなかったらどうするの?」
「なら、明日カードを郵送で送りますよ。」
「どこに?」
「日本でしょ?」
「いや、日本じゃなくて、ベトナムに行くっていうたやん。」
「あぁ、そっか(笑)」
怒る気力も無くなった私は
「もう、いいわ、お姉ちゃん帰っていいよ。
その代わり、もし今日カードもらえんかったら
明日友達に取りに来てもらうから、その人に渡してな」
「わかりました。その人にパスポートかIDを持ってくるように言ってくださいね」
「(その辺はちゃんとしとんのやなと思いつつ)分かった、やからもう帰り」
お姉ちゃん、静かに電動バイクのエンジンを(店内で)かけ
去り際に一言
「本当にアンラッキーでしたね。バイバイ(笑)」
!!!?
(アンラッキーやなくて、お前らの不手際オンリーやないか~い!!)
と心の奥で突っ込みつつ、あまりの衝撃に言葉を無くし、ただ手を振るばかりでした。
幸いその後10分も立たないうちに
鍵を開けられるというおっちゃんが登場し、
ATMからなんなく私のカードを取り出してくれたのでした。
追伸
このあと取り出したカードを何故か奥に持って行ったオバさん行員に
「パスポートが無いとお渡しできません」と言われて
ついにブチキレた件は、もう疲れたので書きません。
以上
ほんとお疲れ様でした。
返信削除中国恐るべしです。
引続き安全な旅を、レポート楽しみにしてます!
そんなことがありましたか・・・
返信削除でも最後の最後まで我慢したケンタロさんえらい!
僕は深夜、5☆シェラトンのロビーで知りうるだけの汚い英語を5分ほど叫び続けたこともありました。
とにかく、シナを離れたことでお二人の体調が戻るのを祈っています。