「30年後の日本が世界中から憧れられる国になるためには何が必要か?」
という問いに対して、
私が獲得した三つの答えをご紹介しておきます。
①好きになること、そして誇りを持つこと。
⇒そのために知り、体験し、協働すること。
どんな単位であれ、そのコミュニティに属している人自身が、そのコミュニティを自慢したくなるくらい、好きで、誇りに思えていなければ、他者から見て、そのコミュニティが魅力的に映ることは難しいのです。
例えば、私自身あれだけ美しい町並みでも、住んでいる人の荒んだ姿が見られたヨーロッパのある都市には、憧れることがないし。
一方で、どれほど空気が汚く、汚れていても、住んでいる人たち自身が楽しそうに、また誇らしげにコミュニティや自国の歴史を語る姿が見られたバングラデシュには、また訪れたいという気持ちにさせられます。
そして私のこれまで学び、経験した限り、
日本という国の風土とそこに根ざした文化と人々は、確かに豊かで美しいものです。
ただ、惜しむらくはそのことを自覚していない若者がまだまだ日本には多いということだと感じています。
原因は様々ですが、
どの道なすべきことは、まず知ること。
学校でも、家族からでも方法は何でもいいのですが、まずは日本に何があるのか?
について知らねばなりません。
と同時に、それらについて体験することが重要です。
感じること無しに、それを好きになることはあり得ません。
日本の美しい風景を見に行くとか、山々を歩くとか、土を触るとか、空を眺めるとか、
なんでもいいんです。
その上で「協働」すること。
そのために一番身近なのは、たぶん「事を行う」という意味で、お月見でも、初詣でも、
日本の伝統的な年中行事を大切にすることだろうと思います。
それらを家庭などを軸としたコミュニティの中で
しっかりと受け継いでいれば、日本のことを好きになれるはずです。
その際、注意すべき点は「決して押し付けない」こと。
コミュニテイへの忠誠や規範が義務として要求されることほど、
そのコミュニティへの信頼を崩壊させるものはありません。
このことはイランというムスリム国家で学びました。
②他の国や文化と、人々の素晴らしさを知ること。
そのために若いうちに現地を訪れ、体感すること。
日本の事が好きだからといって、それがどう素晴らしいのか?なぜ素晴らしいのか?の本質は
それ以外の国や文化を知ること無しには感じられません。
私自身、日本人の「勤勉さ」や「正直さ」がこれほど世界に評価されていること、その理由は他の国や文化を経験することで知ることができました。
そして、他の国や文化を知り、経験し、またそれぞれの人々と出逢い、
かれらと共に過ごす時間が増えてくれば、そのうちに彼らの国や文化もまた、われわれの国や文化と同じように素晴らしいということに必ず気付きます。
何より、大切なことは、
この世界の価値観は単一でなく、相対的なものであるということ。その気付きだと思います。
だからこそ、多様であるこの世界は美しいし、また私達一人ひとりが違うことが受け入れられるし、ありのままの自分自身も受け入れられるのです。
その気付きを得る為には、
たぶん価値観が固まりきる前に、先入観を持ちきる前に、
多くの多様な文化や価値観に触れることが重要だと思います。
なので、なるべく若いうちに、せめて大学生のうちには
他の国に直接訪れる体感することが重要なのです。
③伝える力を磨くこと。
英語といった言語力だけでなく、あらゆる表現の方法を認め、それぞれに合ったものを高めていくこと。
上記をもって、真の意味で、日本の美しさや素晴らしさを知ることに至ったとしても、それらを他の国や文化、コミュニティに属する価値観の違う人々に伝えられなければ、「憧れられる」ことには繋がりません。
そのために、
私達は「伝える力」を身につけ、磨くことが必要です。
旅の前半では、伝えたいと思うことはたくさんあるものの、
自身の英語力のなさに、議論どころか、意見すらできずに
悔しい思いをすることが何度もありました。
そのおかげで、日本について伝えたいことについての
英単語を学んだりして、徐々に伝えられるようになっていったのです。
なので、「伝える力」として、具体的には
英語でのプレゼンテーションを学び、慣れるということも必要でしょう。
ただし、これは「伝える力」の一手段でしかありません。
他にも「絵を描く」「音楽を奏でる」「ボディーランゲージを用いる」など
表現の方法、伝える方法はいくらでもありません。
そのどれかで、自分自身が好きなものを磨いていけば良いのだと思います。
それをやる気が無い大人はせめて、次世代の子供達にその表現方法を
好きに選ばせてあげるべきだと思います。
英語がしゃべれなくても、
出逢った人の似顔絵を描くことで、すぐに仲良くなる旅人もいたし、
ギターを弾ける奴のほうが、下手な英語使いよりよっぽど深く打ち解けられます。
特に「教育」など「次世代育成」の分野に関わる仕事では、
このことを意識して、子供や若者の才能を受け入れていかなければならないと感じています。
以上が、この旅の問いに対して、私が二年間の経験をもって得た答えです。
まぁ、そんなの当たり前じゃないか、と思われる方も多いかと思います。
ただ、私個人にとって重要なのは、
それが経験によって裏付けられているということです。
なので、今後携わっていく仕事や場において、
上記の学びは、私自身の哲学として編みこんでいきたいと思いますし、
また、それを自信をもって行えると感じています。
旅の終わりから9ヶ月
ぎりぎり年を跨ぐ前に、ようやく旅をまとめることができそうです。
改めて、
旅で出会ったすべての人々と、
その旅を支えてくれたすべての人々に深く深く御礼を申し上げます。
感謝
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